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トランプ大統領と習近平主席の大型ガチンコ外交

 アメリカのトランプ大統領が、11月5日から日本、7日に韓国、そして9日から中国、11日にベトナム、12日にフィリピンと、絶妙のタイミングでアジア初歴訪した。

 この歴訪によって「外交」とは、かくもダイナミックで、凄いものであるかと思わされた。特に中国では、トランプ大統領を「国賓」以上のレベルで、故宮の建福宮で宴席を、乾隆帝が書斎としていた三希堂で茶話会をするなど最大級のもてなしをした。現代のエンペラーの気分を、さぞかし味わったことであろう。

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 9日、人民大会堂でのトランプ大統領と習近平主席の首脳会談では トランプ氏は「北朝鮮について議論したが、あなたと同様、私も解決策があると信じている」と述べた。

 これに対して習近平氏は「朝鮮半島とアフガニスタンなど重大な国際・地域問題について意見を交わし、協調を強化したいと思う。中国とアメリカの関係を推進し、さらなる発展が得られると思う」としながらも、具体的な措置は示さなかった。

 また「太平洋には中国とアメリカを受け入れる十分な空間がある」と過去にもオバマ元大統領に言ったことがある言葉を使ってトランプ氏を誘い込んだ。

 これに対してトランプ氏は、「自由経済や個人の権利、法の支配について主張し続ける」と強調し、中国の力ずくの海洋進出(南シナ海の人工島の軍事基地化)をけん制した。

 さらにトランプ氏は、対米貿易赤字について「過去のアメリカの政権が、こんなに具合の悪いことを容認してきたのは最悪だ。双方にとって公平にいこう」と提案した。

 習近平氏は「中国とアメリカの関係は歴史的なスタート地点にある。協力できる分野に注目し、違いをコントロールしながら相互利益を目指していきたい」と応じた。

 トランプ氏は「アメリカと中国関係ほど重要な関係はない。私たちは世界の問題を解決する能力がある。アメリカと中国はウィンウィン関係を築く」と語った。

 今回のトランプ大統領の訪中に合わせて、何とアメリカと中国で、貿易不均衡是正のために2500億ドル(約28兆4200億円)に上る前代未聞の商談が発表された。

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 会談後トランプ大統領は「習主席との会合は、貿易と北朝鮮の両方の点で、とても生産的だった」、「習主席は、高い尊敬を集めている、中国国民の強力な代表者だ。彼と彭麗媛夫人と過ごした時間は素晴らしかった」、「貿易面で中国にアメリカを利用することを許した過去の政権の能力のなさを責める」とツイッターした。トランプ氏は、習氏を「とても賢い人間。私は彼が好きだ」、「毛沢東以来の最強の指導者。毛よりも力を持っているという人もいる」と大いに持ち上げた。巨額の対中赤字については「私が解消する」とまで言い切った。

 どうやら中国の外交の基本戦略は、表向きは「アメリカとの戦いはなくして、終わらそうとしているようである。少なくとも今は、アメリカと争うときではない」と判断しているようである。今回のトランプ大統領の訪中と首脳会談で両国は「新型大国関係外交」に踏み出したようである。

 さて「初めてのアジア歴訪のトランプ外交の成果はどうだろうか?」     

 あのトランプ大統領の主席戦略官を8月まで務めたバノン氏が来日して15日に都内で講演した。その中で「トランプ大統領のアジア歴訪は素晴らしかった」と称賛した。そのトランプ大統領を「世界でもっとも賢い交渉人の一人だ」とし、各国の指導者と「強い人間関係を築いた」と評価したのだ。また北朝鮮問題については「バランスをとった対応をした」と分析した。

 そうであろうトランプ大統領は、超一流のビジネスマンとして交渉事は最も得意とするところである。日本にもアメリカ製の武器の輸入を増すように要求してきた。これに安倍総理も即応して「日本の防衛力を質的に量的に拡充しなければならない」と述べた上で、最新式戦闘機F35や陸上迎撃ミサイル「SМ3ブロック2A」などをアメリカから購入することを決めた。

 しかしバノン氏は、中国については「人民元を、アメリカドルに代わる基軸通貨にしようとしている」と指摘して、中国は金融面で覇権を握ることが目的だとした。そうなれば「自由民主主義や自由経済が敗北する」と言う。アメリカと中国の貿易収支については、これからもシビアな話し合いが続くだろう。最後にバノン氏は軍事力も含めた「中国の台頭に、どう対応するか?」が重要であると言う認識を示した。

 このトランプ大統領の訪中によって、中国の対日外交にも変化が出て来た。

 11月11日ベトナムのダナンのホテルで、習近平主席と安倍総理が会見した時である。何と、あの仏頂面を通し続けていた習近平主席が、これまで見せたことがない笑顔で、安倍総理の方を向き握手をしてきたのだ。安倍総理の方が、いつもの仏頂面をされるのではないかと警戒していたので面食らったのではないか。(以前と今回の写真を見比べてみよう)

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 習近平主席が笑顔を見せたのは、トランプ大統領と安倍総理が親密度を加えてきたことを警戒したことと「一帯一路」構想に日本を引っ張りこみたいという腹があるからである。対日の外交戦略を変えて来たのである。

 習近平主席は「中日は、隣国同士であり、アジアと世界の主要な経済体だ。中日関係の安定的発展は双方の利益に合致しており、地域と世界に重要な影響を当たえる。中日関係を引き続き改善していきましょう。これから新しい中日関係が始まる」とまで言い出したのだ。

 この習近平主席の豹変した態度には、安倍総理も、さぞかしびっくりしたことであろう。

 続いてフィリピンでも安倍総理は、中国の李克強首相から会見を申し込まれた。李克強首相も「関係改善の勢いを強固なものにしていかねばならない。我々としても歩み寄りたい」と言ってきたのである。

 安倍総理とトランプ大統領の同盟関係が強固になってきたので、中国としても、日本を無視していられなくなって外交方針を転換してきたのだ。しかし、この中国の外交提案に、うまうまと乗ってしまうのは危険である。それならば、「まずユネスコに記憶遺産として登録された「南京大虐殺事件」を取り下げるのが、礼儀であろう」と言いたい。そのユネスコに対する日本の分担金も「従軍慰安婦」の登録問題もあって、拠出を保留している。当然のことであろう。

 中国は、安倍政権が総選挙で過半数を取ったので、これからは「憲法改正」を進めていくだろうことも心配しているのだろう。

 とにかく中国の外交態度の豹変には気を付けた方がいい。日本は過去に「日中国交回復」後に「日中友好」のもとに多大なODAや技術援助した挙句に、「反日」で徹底的に中国にイジメ抜かれた経験があるからである。忘れはしないだろう。

 外交には「表戦略」と「裏戦略」がある。表では、相手国に、どんなに好意的にもてなされても、それに呑み込まれてはならない。また「裏戦略」として必ず、その国の国益を得るものでなくてはならないのである。いわゆる外交は「したたかの上にもしたたか」でなくてはならない。安倍総理も中国との関係改善をしながらも、あくまでアメリカ・トランプ大統領との同盟の連携を取りながら、やすやすと中国の魔の手には乗らないだろう。

 トランプ大統領と習近平主席も、表向きはお互いにリスペクトしながら、裏では壮絶な駆け引きが働いている。果たしてどちらが外交上手なのか?そこへ安倍総理も一枚加わってきた。アメリカと中国による第2次冷戦時代の「新型大国外交」は始まったばかりである。完

 

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