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「三島由紀夫事件」と「日本は、なぜ憲法改正しなければならないのか?」①

 1970年2月19日に収録された三島由紀夫へのインタービューは、その文学や思想を理解する上で価値が高い。

「なぜ『憲法改正』しなければならないのか?」について、三島は、こんなことを語っていた。

「僕は、憲法9条が全部いけないと言っているんじゃないんです。戦争しないっていうことは立派なことです。第2項がいけない。とにかく念押しの規定をしている。日本人は、ごまかしで生きてきた。僕は大嫌いなんですよ、そういうことは。僕は人間がごまかしで生きていくことには耐えられない。本当に嫌いですよ」と。

 では第2項には何が書かれているのか?「前項(第1項)の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と記されている。

 三島が「念押しの規定をしている」と言ったのは、第1項に「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と書かれているのに、また2項で、同じことを繰り返しているからであろう。

三島は「平和憲法は、偽善です。憲法は、日本人に死ねと言っているんですよ」と、彼なりの強い解釈で表現している。

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 三島由紀夫が、自衛隊に「憲法改正」のためのクーデターを呼び掛けて、失敗して「割腹自殺」を遂げたのは、『豊饒の海』の第四巻である「天人五衰」を書き上げた直後であるという。

ということは、『豊饒の海』は、遺作であり、その作品の中に三島の遺言が隠されていると言ってもよいであろう。

では「三島由紀夫の遺言とは何であろうか?」

それは「天人五衰」の「天人であっても、五衰の苦悩から逃れられない。すべからく六道輪廻から解脱して、豊饒の海に至れ」という結論にあると思うのである。

これを国家に置き換えると、「日本は『平和憲法』を制定して、これまで解釈をグルグルしてきた六道輪廻から解放されなければならない」とも、筆者は読み取れるのである。

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三島の辞世の句である「益荒男が、たばさむ太刀の鞘鳴りに幾とせ耐えて、今日の初霜」の「幾とせ耐えて」が、「憲法改正」のために耐えてきたという意味であろう。「初霜」が「秋霜」に重なるのである。

 その「9条と2項の削除と内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍の保持」が、自民党の改憲草案である。

 しかし安倍総理が、「9条1項と2項を維持した上で、自衛隊を明文化する」という試案を持ち出してきた。

 それは憲法学者の約2割しか自衛隊が、合憲であると言い切る人がいないことと、やはり議会で3分2の賛成を得ることと国民投票で賛成を得るためにハードルを下げたのであろう。

 国民の多くが受け入れている「自衛隊の存在を明記する」という現状を追認する形の方がよいと考えているのであろう。

 しかし、これは三島由紀夫の「憲法改正の精神」とは違うものである。

敗戦後のアメリカ占領軍による洗脳政策「WGIP」(ウォー・ギルト・インフォメーション)は、日本人に戦争をしたことへの罪悪感を植え付けて、日本が再び戦争をしなくなるように、弱い国のままにしておくことを目的にしたものであった。

アメリカ占領軍によって作成された日本国憲法の第9条は、その最たるものである。

 しかし5年後に朝鮮戦争が勃発して、アメリカは、北朝鮮や中国の共産主義の防波堤として、日本を同盟国にする必要に迫られた。

すなわち日本に押し付けた「憲法第9条の戦争放棄は間違いだった」ことをアメリカ自身が認めたのだ。

 アメリカが「サンフランシスコ講和条約」を急いで日本を独立させたのも、そのことだったのである。

その「サンフランシスコ講和条約」締結の時に、アメリカのダレス国務長官が「日本は、憲法9条を改正したほうがいい」と、吉田茂総理に強力に勧めた。

ところが吉田総理は、アメリカの逆手を取って、「日本は、このまま経済再建に専念して、アメリカに国防の番犬になってもらう」という「吉田ドクトリン」を選んだのである。

しかし、ここで日本が「憲法改正」の絶好の機会を取り逃したことが、後の祟りとなって、日本が自主権や独立国家としての形を作り上げることができずに、精神的な背骨のない国家として漂わざるを得なくなってしまったのである。

 この意味で「吉田ドクトリン」の罪は、あまりのも大きいと言わざるを得ない。続く


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