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アメリカのイラン攻撃はあるのか?

ホルムズ海峡の近くのオマーン沖で、日本のタンカーが、テロ攻撃を受けて、アメリカとイランとの間に軍事衝突の緊張感が高まっている中で、イラン政府は、一方的に「濃縮ウランを制限せずに増産する」と発表した。

これまで国際社会で心配されていたのは「核兵器を、すでに隠し持っているイスラエルと、核兵器を、もうすぐ保有するであろうイランとの間に、核戦争が起きるかどうか」ということだった。

その危険性回避のために米・英・独など6か国は、イランとの核合意をしたのであるが、トランプ政権が、不十分であるとして核合意を破棄したので、有名無実となってしまった。

イランとしては、アメリカから経済制裁を受けているのに、核開発を止められていることの不合理を感じていたので、今回の「濃縮ウランの濃度を20%挙げて増産する」という方針に切り替えたのである。

しかしこれにイスラエルやアメリカが黙っているはずがない。イランの核兵器が完成する前に、イスラエルやアメリカが、イランの核施設を攻撃する口実が強まったと言える。

このような政治的次元の理解だけでなく、宗教的次元で理解しなければ、イランとイスラエルやアメリカの戦いは分からないだろう。

イランとイスラエルの戦いの本質は、イスラム教とユダヤ教という、一神教同士の戦いである。一神教というのは、自分の方が正義だとして、他の宗教を排撃する。そしてどちらかが倒れるまで戦いがちであるという性質を持っている。

もしこの地で核戦争が起きれば、『ヨハネの黙示録』16章に予言されている「ハルマゲドン」(イスラエル北部にあるメギドの山。現在のゴラン高原)と言われる戦争が起きてしまう。

このほどイスラエル政府は、トランプ大統領が承認したゴラン高原の入植地を、「トランプ高原」と命名したのである。これも何かを暗示させるものがある。

よく知られているのが、トランプ氏の娘イバンカの婿クシュナーは、ユダヤ教徒である。またアメリカの金融界やマスメディアなどに絶大な影響力を持っているのもユダヤの大富豪たちである。

さらにトランプ大統領やペンス副大統領を支持しているのは、「福音派」と呼ばれる人たちが多くいる。この「福音派」が、イスラエルを後押ししているという背景がある。

それでイランが核兵器を保有する前に叩き潰してしまおうとする戦略が考えられる。イスラエルとしては、単独でイランの核施設を攻撃するよりは、アメリカを巻き込んでやる方が得策である。

イスラム側としては、イスラエルに対抗するためには「イランが核兵器を保有することには理解できる」が、イランのシーア派とサウジアラビアのスンニ派の対立とイスラムの盟主をめぐっての対立があることも、一枚岩にまとまり切れていない複雑な事情がある。

この間隙を縫ってイスラエルとアメリカは、イランを攻撃しようとしているのである。

しかしイスラエルとアメリカに、イランを攻撃する、それだけの大義があるのかというと、そうでもない。

にもかかわらず情報戦によって、事態は軍事衝突の危機を迎えているのである。

6月9日に、B52爆撃機、数十機を搭載した原子力空母エイブラハム・リンカーンを中心とする空母打撃群が中東に到着している。

6月17日、シャナハン国防長官代行が、タンカー攻撃について「イラン軍部隊と、その代理勢力による敵対行為が、アメリカ軍将兵及び地域のアメリカ権益を脅かしているとの情報の角度の高さを実証するものだ」と指摘し、アメリカ軍千人規模を「防衛目的」で、中東に増派することを承認した。

その内訳は、地対空ミサイル「パトリオット」1個大隊と有人・無人の情報・監視・偵察関連装備と任務支援航空機などである。

これに対して同日イランのバゲリ参謀総長が「ペルシャ湾の新たな事故に関し、イランがホルムズ海峡を通過する石油輸出の阻止を決断すれば、徹底的に公然と行うだけの十分な軍事力がある」と声明した。

6月20日、イラン革命防衛隊は、ホルムズ海峡がある南部ホルムズガン州で、アメリカのスパイ用ドローンを撃墜したと発表した。アメリカ側は領空侵犯を否定し、イランとの軍事衝突が、さらに高まった。

双方の国が「戦争することは望まない」としているが、偶然の軍事事件が、一触即発となることもあるのだ。

もしホルムズ海峡が封鎖になっては、中東からの石油に頼っている日本としてもエネルギー危機の一大事である。

安倍首相が、アメリカとイランの緊張緩和をとりなす外交をしたのが、タンカーテロによって、吹き飛んでしまい、トンだ「藪蛇外交」となってしまったようだ。

これもイランの石油の利権ばかりを見て、アメリカとイランの対立の背景にある本質的なイスラム教とユダヤ教・キリスト教の宗教的価値観の対立やイランが、なぜ核保有を目指さなければならないかの理由まで、見通すことができなかった底の浅い安倍外交がもたらしたものと言えるのである。完

 

 

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