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ブラック・スワン(黒い白鳥)とグレー・リノ(灰色のサイ)

 金融市場の専門用語で、「ブラック・スワン」(黒い白鳥)と「グレー・リノ」(灰色のサイ)という言葉が、最近よく使われている。

これはアメリカの経済学者ミッシェル・ウッカーが、2013年1月のダボス会議で提起した経済用語である。

「リーマン・ショック」のような、めったに起こらないが、発生すると壊滅的な被害を引き起こす現象を「ブラック・スワン」(黒い白鳥)と呼び、発生する確率が高い、潜在的リスクを「グレー・リノ」(灰色のサイ)と言う。

「ブラック・スワン」は、突如として到来するのに対して、「灰色のサイ」は、長きにわたって積み重なったものが、ようやく姿を現してくるというものだ。

これまでの多くの経済的事件は、「ブラック・スワン」というよりも、「灰色のサイ」であり、爆発前に、すでに前兆が見られていたが、無視されてきたものである。

例えば2008年9月に起きた「リーマン・ショック」は、一部の人々にとっては「ブラック・スワン」であったかもしれないが、多くの人々にとって、この金融危機は数多くの「灰色のサイ」が集まった結果であった。

すなわち早くから兆候が見られて、すでに国際通貨基金と国際決済銀行によって警告がなされていたのだ。

今年は、「経済危機の年」と言われているが、その経済危機の震源地は、言うまでもなく中国である。

その中国の習近平主席が、1月22日に、「中国にとって一番の脅威は、『灰色のサイ』である」と言い始めたことが興味深い。

           250px-Indian_Rhinoceros[1]

サイは、おとなしく見えるが、爆発すると怖い。

個人は銀行や消費者金融からお金を借り、地方政府は、シャドーバンキングや銀行からお金を借りている。企業もお互いに莫大な負債を抱えている。

あちらこちらで借金の返済期が来て、個人や企業や金融が総破綻するのではないかと言われている。

何せ中国全体の負債総額は、一説によると、33兆ドル(約3600兆円)という天文学的な数字である。

このような莫大な借金漬けの経済の構造上に成り立っているのが、現在の中国経済であると言うから恐ろしや。

3月5日から中国の第13期全国人民代表大会が開幕したが、その直前に中国最大手の民営投資会社「中国民生投資集団」の社債が、デフォルト(債務不履行)となってしまった。

これは過去最大のデフォルトに発展する可能性があり、もしそうなれば米中貿易戦争の影響で減速が出てきた中国経済に、さらなるダメージを与えかねない「灰色のサイ」となる。

「中国民正投資集団」は、2014年に発足した民営企業59社が、共同出資した太陽光発電や風力発電に投資していた会社である。

習近平政権は、当初は太陽光発電や風力発電に補助金を出していたが、昨年の早い時期に打ち切ってしまったために、投資資金が回収できなくなり、社債を発行していたが、2月1日には返済ができなくなってデフォルトしてしまったのである。

習政権は、国営企業には、国営銀行が融資するが、民間企業には、冷淡に融資を打ち切っている。しかしこれらの民間企業がデフォルトの連鎖をするならば、金融恐慌への発火点になりかねないのである。

ちなみに中国に生息する1頭目の「灰色のサイ」は、「不動産バブル」であり、多くの人が、「住宅価格は下がらない」という錯覚に陥っていることである。

2頭目の「灰色のサイ」は、通貨、「人民元の切り下げ」である。アメリカは、間もなく金融戦争を仕掛けてくるだろう。切り下げによる資金流失は、1997年に起こったアジア通貨危機のような大きな動揺をもたらすのである。

3頭目の「灰色のサイ」は、「銀行の不良債権の増加」である。これは日本が1990年代に経験した「バブル崩壊」である。

4頭目の「灰色のサイ」は、500万件以上の企業倒産による「膨大な数の失業者」である。暴動などの社会騒乱が起きやすくなる。

5頭目の「灰色のサイ」は、すでに「バブル崩壊」が始まっているのに、GDPなどの数字を誤魔化すことであり、これまで中国が取り繕ってきたウソが全部バレつつある状況である。

習近平主席は、「中小企業の金融問題を実利的に解決するほか、雇用の安定を目指し、企業支援を強化する。また多額の負債を抱えるゾンビ企業問題を適切に解消する」と政策を発表したが、どのくらい「灰色のサイ」を退治することができるのだろうか疑問である。

なぜならばブルームバーグが「最近の刺激策にもかかわらず、中国経済が近いうちに底を見るという見方はほとんどない」と伝えているからだ。

さて今年の全人代での、李克強首相の活動方針演説では、96958A9F889DE6E0E2E1EAE1EAE2E2E7E2E1E0E2E3EB9494E0E2E2E2-DSXMZO4203836005032019000001-PN1-4[1] 

「習近平同士を、核心とする中国共産党中央の力強い指導の下、『小康社会』(ややゆとりのある)の全面的な完成に向けて、大きな進展をもたらした。GDPは、6・6パーセント?伸び、規模は90兆元(約1500兆円)を突破した。

2019年のGDPの成長率は、6から6・5パーセント?を目標にして、都市部の新規就業者数を1100万人以上とし、失業者を抑える。消費者物価の上昇を3パーセント前後とする。2019年の財政赤字を2兆7600億元とし、GDPに対する比率を2・8パーセントとする。また鉄道インフラ投資を8000億元、道路、水運投資を1兆8000億元をとし、次世代情報インフラを整備し、5776億元を投資する。国際ルールに従って一帯一路の共同強設を促す。国防費は19・8兆円とする」という内容であった。

習近平主席の仏頂面の横目に睨まれながら、汗を吹き出しながら、何かぎこちない演説をしている李国強首相の姿が印象的であった。

去年の秋頃から、中国は、習近平主席への忠誠心を高めながら、経済危機を乗り越えていこうとしているのである

「果たして『ブラック・スワン』と『灰色のサイ』は、中国経済を、どのぐらい直撃してくるであろうか?」

その時は、日本も覚悟して「中国バブルの崩壊」の衝撃に立ち向かわなければならないだろう。 完

 

 

 

 


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