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映画「僕の彼女は魔法使い」に出てくる『ヘルメス文書』とは?①

  映画「僕の彼女は魔法使い」が公開されている。

そのストーリーの中で、重要なカギを握っているのが、千眼美子が演じる主人公の白波風花の恋人である竹中優一が読んでいた『錬金術とヘルメス文書』である。

今回は、その『ヘルメス文書』について述べてみたい。136180727_th[1]

ルネッサンス期、イタリアのフィレンツェにコジモ・デ・メディチという大富豪がいた。彼が、生涯を賭けて、本当に手に入れて読みたかったのが、古代エジプトの伝説の書物である『ヘルメス文書』だった。

だが誰も、それを見たことがなく、もはやあきらめていた頃に、ギリシャ語に訳された『ヘルメス文書』が、レオナルド・ダ・ピストイアという僧によって、マケドニアの、ある古い修道院の中からのであった発見されたのであった。

この千年以上も眠っていた『ヘルメス文書』が発見されたことで、その価値を知るヨーロッパの学者たちに、かなりの知的インパクトを与えた。

 当時、『ヘルメス文書』というのは、それほどの価値ある書物だったわけである。

もっと言うと、『ヘルメス文書』の前身である古代エジプトの『トートの知恵の書』は、何千年も前からギリシャのターレスやピタゴラス、またはソロンやプラトンと言った哲学者や賢人たちが関心を持っていた。

なぜならば、ヨーロッパのすべての宗教や哲学や科学の源流が、この古代エジプトの「トートの知恵の書」にあったからである。

 コジモが手に入れた『ヘルメス文書』は、1世紀から3世紀頃にアレキサンドリアにおいて編纂されているのであるが、じつはその起源は、もっと古く、古代エジプトまで思想的につながっていた。

 紀元前12OO年頃に書かれたとされる、有名な『死者の書』には、「真理の主」という言葉が使われているが、これは古代エジプトの知恵の神「トート」のことを指す。

この知恵の神「トート」は、ギリシャの神「ヘルメス」と習合されて古代エジプトでは「トート・ヘルメス」と呼ばれるようになり、これがさらに本源化されて「ヘルメス・トリスメギストス」(三倍偉大なヘルメス)と言われるようになった。

この「『三倍偉大なヘルメス』という表現は、いかなる存在のことを言うのであろうか?」

 この古代エジプトの霊知識と科学知識が、千数年後の、コジモのルネッサンス時代において『ヘルメス文書』として解放されたのであるから、ヨーロッパ世界に知的衝撃が起こらないはずはなかった。

 コジモは、すぐさま『ヘルメス文書』を、ラテン語に翻訳するようにフィチーノに命じる。コジモは、もう晩年にさしかかっていたから、死ぬ前に一度、この人類の宝の書である『ヘルメス文書』を読んでみたかったのである。

フィチーノは、急いで一年足らずで一四六三年に『ヘルメス文書』十四巻を完成させている。

 この『ヘルメス文書』のすべてを紹介することはできないので、とりあえず、ヘルメス・トリスメギストスが弟子であるアスクレピオスに対して語った『アスクレピオス』(完全なる対話)の中に、「真なる宗教の復活」という重要な予言めいたことが書かれているので、その抜粋を紹介する。

 「知らないのか?アスクレピオスよ、エジプトは、天上の世界のイメージであることを。より正確に言うならば、天上の世界で統治されていたものは、すべて地上のエジプトに降ろされ、移されたのだということを。実を言うと、このエジプトは、全世界の神殿であるのだ。」

 「そこで賢人は、あらゆることを事前に知っておくべきであり、お前も無知であってはならない。それというのは、エジプト人たちは、これまで神々を崇拝し、敬虔に信仰してきたが、それらが、すべて徒労だったかと思うような日々がやってくるのである……。それというのも、地上を支配した神々が、天上の世界に帰ってしまい、エジプトは見捨てられてしまうからだ……。そして魂についての教えは、実体のない幻と思われるだろう……。聖なるもの、尊いもの、あるいは天上の世界に存在するものは何一つ、話に聴くことも、信じられることもなくなるだろう。このように神々が、人間から離れるときは、どれほど悲しいことだろう……」

 「この『アスクレピオス』に描写している内容が、まるで『無神論』と『唯物論』が蔓延している現代の世界のようではないか」と思えるのである

 しかし、『アスクレピオス』は、これで終わっているわけではない。次の文章には希望の福音が述べられているのである。

 「これらが、すべて実現したときに、アスクレピオスよ、そのときは、主にして父であり、本源なる力をもつ『至高神』が、この有り様を見るであろう……。そして愛の力によって、あらゆる悪や堕落に立ち向かい、その過ちを正し、憎しみを洗い流すであろう……。その後、世界は、古代エジプトがもっていた美を取り戻し、世界は、再び尊敬と驚嘆に値するようなものとなっていくであろう。そして、その時代の人々は、祝福と称賛をもって、かくも偉大な事業を行い、再生させた『至高神』を讃えるであろう。これが新たな世界の誕生となるであろう。すべてのよいものが再構築され、自然の最も敬虔にして、神聖なるものが復活されるのである……。そして地上を支配した神々は、いつの日にか、エジプトの一番端にある都市に復活するであろう。夕陽に向かって築かれる、その新たな都市に、限りある命の人間たちは、みな陸路と海路で、急ぎ集まるだろう……」と書かれている。

 「この中に書かれている『主にして父であり、本源なる力をもつ至高神』とは、いったい、どのような『至高神』であろうか?」

 さらに、この『アスクレピオス』には、「古代エジプトが、失ってしまった『真の宗教』が、エジプトの一番端にある都市に復活するであろう。」という予言が、はっきりと記されているのである。

 「この『真の宗教』とは何か?これは、『おそらく古代エジプトの知恵の神〈トート〉に関係のある宗教である』と想像がつく。

さてコジモは、この世の名声を得て、しかも自身の最後の願いである『ヘルメス文書』を読んだ次の年に、八十歳で亡くなっている。続く

 

 

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