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児玉源太郎と203高地の陥落①

  海軍司令部は、「旅順要塞を攻撃するのではなく、旅順北西にある203高地を攻撃してもらいたい。203高地は旅順市街地と旅順港を観測するのに十分な高度を持っているから、そこからロシアの旅順艦隊の位置を把握できるだろう。そうなれば要塞越しに砲撃をかけて旅順艦隊を潰すことができるだろう」と、乃木第3軍に強く要請した。

 そこで第2次総攻撃で、旅順要塞だけでなく、203高地を攻撃した。

 ロシア軍は、うかつなことに203高地の重要性に気づいていなかった。日本軍の攻撃によって203高地が手中に入った。しかし兵力が少なかったので、ロシア軍に奪還されてしまった。それでロシア軍は203高地を要塞化したのである。

 このままでは、いたずらに死傷者が増えるばかりで、インド洋経由で、こちらに向かっているバルチック艦隊が到着してしまう。

 そうなれば旅順港に停泊しているロシア太平洋艦隊と合流して、2倍の海軍力となってしまうと、朝鮮半島海域の制海権を奪われて、日本からの兵站が途絶えてしまう。しかも満州に展開している日本軍が、腹背に敵を受けて敗戦することを意味していたのであった。

 大本営は、乃木将軍を更迭することを考えたが、明治天皇が反対されたために撤回されてしまった。

 この悪状況を見て児玉源太郎参謀次長は、満州軍総司令官大山巌の許可を得て、「俺が、旅順に行くしかない」と決断した。 

 11月30日、旅順に着いた児玉は、乃木将軍から指揮権を預かり、現地をつぶさに視察し

て、「203高地攻略作戦」を練り上げた。

                     kodama_l[1] 児玉源太郎

この時、児玉が考えたことは「第3軍が、これまで正攻法で攻略に失敗し続けたのは、いくら攻めてもロシア軍の予備戦力が投入され、砲撃によって追い返されたからである。要塞攻略で肝要なのは敵兵を消耗させて、予備戦力を枯渇させることである。ロシア軍が203高地にこだわるならば、ここを決戦場にして敵兵と予備戦力を徹底的に消耗させて、一点突破して他の要塞攻略を有利にしよう」ということであった。

その攻略のために「これまで乃木司令官が行ってきた作戦を、より進化させて28センチ榴弾砲や重砲を203高地の要塞に接近するように配置させて、徹底的に砲撃を加えて、ロシア兵が消耗・枯渇したところを突撃させて、203高地を陥落させよう」とした作戦である。

そして「1つ、速やかに重砲を高崎山まで陣地転換せよ。2つ、28センチ榴弾砲18門を、さらに旅順要塞近くに移動して設置し、15分間おきに発射させて、それを一昼夜連続射撃して、敵の反撃を阻止せよ」と、部下に命じたのである。

 これに対して豊島陽蔵砲兵少佐は「そんなに早く移動することは無理です」と主張した。児玉は「やる気になればできる。24時間以内に移動を完了せよ」と、改めて命じた。

 しかしなおも豊島砲兵少佐は「28センチ砲を連続発射すれば、砲弾によって味方の兵士を撃つ公算が大であります。天皇陛下の赤子を陛下の砲で撃つことはできません」と言った。

 これを聞いて児玉は激怒した。「これまで陛下の赤子を無為無能の作戦で、いたずらに死なせてきたのは、いったい誰であろうか?兵士の命を無益に失わせないようにと、俺は作戦を変更しろと言っているのだ。それが分からんのかー」と、凄い剣幕で一喝したので、その場はシーンと静まり返った。

 さらに児玉は「諸君は、昨日の専門家であるかもしれん。しかし明日の専門家ではない」と、これまで第3軍が「旅順要塞に対して正面突破ばかりを繰り返して攻略できなかった」ことを厳しく猛省させたのである。 

 さっそく児玉参謀次長の作戦命令が実行されて、12月1日から3日間を攻撃準備にあてた。大規模に攻撃部隊の配置転換をして、重砲の陣地転換や28センチ榴弾砲18門を、さらに接近移動して、砲床の構築を3日間で完成させた。続く

 

 

 

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