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ついに「米中貿易戦争」勃発か?

  3月2日、トランプ大統領は、ツイッターで「ある国が、取引のある事実上のあらゆる国との貿易で巨額のドルを失っている際には『貿易戦争』は良いことであり、しかも楽勝だ」

「例えば,ある国対わが国が1000億ドル(約10・5兆円)の赤字を出しているのに,相手が生意気だったら取引は、もうやめた方がいい。我が国が大勝する。簡単なことだ」と、やや乱暴な表現で、鉄鋼に25パーセント、アルミに10パーセントの報復関税を適用した。鉄鋼とアルミと言えば、航空機材からビール缶まで、その用途は幅広い。

大統領就任1年を回り「ついにトランプ大統領は『貿易戦争』のカードを切ったか」と思ったのである。「貿易戦争」に踏み込んだのは、これまでのアメリカの貿易赤字が巨額に膨れ上がっていたからである。特に対中赤字は3000億ドル(約31・5兆円)を超えている。

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早速中国側から「貿易保護という手段を用いる際は、自制心を働かせるよう」にとアメリカ側に求めた。

そして「あらゆる国が、アメリカの事例に倣えば間違いなく国際貿易秩序に深刻な影響が及ぶ」として、

「世界貿易機関を軸とする多国間貿易体制を著しく破壊し、貿易秩序に重大な衝撃を与える」と強くけん制した。

トランプ大統領は、個別の国と「交渉次第で、輸入制限を解除する」と表明し、カナダやメキシコには鉄鋼とアルミの関税を求めないとした。

これに対して中国や韓国やEUは、トランプ流の手法に強く反発し、「報復合戦が進めば、世界経済に暗雲が立ち込める」と懸念を示した。

中国は「『貿易戦争』を望まない。中国は、あらゆる挑戦に対応する能力がある。断固として国家と人民の利益を守る」とし、「『貿易戦争』に勝者はいない。両国だけでなく、世界全体に災難をもたらすだけだ。各国が対抗措置を幅広く打ち出せば激化を招き、世界経済の成長にとってマイナスになる」と猛抗議した。

しかし、その中国その自身が、世界貿易機関(WTO)に加盟した時に公約した市場経済のルールを守っていない。なぜならば中国市場へのアクセスはいまだに制限され、中国政府の介入は多岐にわたっている。アメリカ企業最先端技術や知的財産の移譲を強要する。国家主導の経済体制を築いて外国企業に不利な条件を課すなどしているからである。

2月下旬トランプ大統領は、「アメリカが、中国を世界貿易機関(WTO)に加盟させたことが間違いだった」と強調した。

振り返ってみると、1989年6月の天安門事件が起きた時に、アメリカ議会が要望する厳格な経済制裁発動を抑え、対中経済政策で関係改善の道を選んだのが、父親のジョージ・ブッシュ大統領であった。

2000年にクリントン大統領は、ルービン財務長官やサマーズ財務長官らを起用して「アメリカが、協力して中国をより豊かに、より強くすることを支援し、国際秩序に招き入れれば、中国自体が民主主義の方向に進み、国際社会の責任ある一因になるだろう」という善意ある対中経済政策を取り入れという。た。これを「関与政策」という。

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 クリントン元大統領とルービン元財務長官 

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 クリントン政権のサマーズ元財務長官 

そして中国に対して恒久的に最恵国待遇を付与する「恒久的通常通商関係」のかかわる法律を成立させて、翌年のジョージ・ブッシュ政権発足後に中国を世界貿易機関(WTO)に加盟する道を開いたのである。

このようにアメリカの歴代政権は、中国との絆を深めれば、中国の国内発展も、対外言動も改善できるのではないかという甘い期待を対中政策の基本としてきた。

だが中国は、アメリカの期待とは正反対に進んで、そうはならないことが明らかになった。中国経済の台頭とともに、アメリカの貿易赤字は膨大になり、今や中国との貿易摩擦は、世界各国で拡大しているのである。

アメリカの国民は、中国の人民元が意図的に切り下げられた結果、アメリカ人の仕事が奪われ、製造業は危機に瀕していると考えている。そして、このまま対中貿易赤字が増加し続けば、やがてアメリカ経済の破綻を招くと警戒をしている。

トランプ政権は、これまでの対中政策が、いかに間違っていたかを率直に認めて、対中経済政策を180度転換したのである。

中国経済特有の国家資本主義に関わる貿易投資問題は、WTOや国際通貨基金(IМF)など既存の世界の枠組みでは解決できず、限界であることがわかってきた。

トランプ大統領の今回の「貿易戦争」の発動は、既存の枠組みを壊して、新たなパラダイムシフトを起こそうとしているのである。

ムニューシン財務長官は「トランプ政権は、輸入関税賦課で『世界的貿易戦争』を仕掛けようとしているわけではない」と発言しているが、トランプ大統領は「『貿易戦争』はいいこと。勝てる」と、手荒なことを隠そうとしない発言をしているのである。     

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          ムニューシン財務長官 

ティラーソン国務長官が解任されて、後任にCIA長官だったポンぺオ氏が就任した。ポンぺオ国務長官は、ティー・パーティーが推した保守強硬派の政治家で、トランプ大統領とウマが合い、大統領の権限を、いかんなく発揮させる人物とされている。  

貿易担当のロス商務長官やライトハイザー通商代表も、やる気満々である。

今後「対中国貿易戦争」のために閣僚や高官を一新し、大胆で迅速な政策遂行ができるように、トランプ大統領に忠誠心を持ち、かつ能力の高い人材を配置してくるであろう。

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               ロス商務長官

アメリカの貿易赤字の削減については、すでにトランプ大統領の就任式でも述べていたし、満を持しての攻勢をかけていくのであろう。

中国の知的財産権の侵害についても突いてくるであろうし、中国の黒字削減・人民元の切り上げ・内需拡大も要求してくるであろう。場合によっては中国を為替操作国に指定してくるであろう。

さあ「『貿易戦争』は、始まったばかりである。後はどのように世界に波及していくのであろうか?貿易破壊になるか?新たな貿易の創造になるか?」

これからアメリカと中国は、熾烈な経済戦争になるであろう。その結果、「日本は、そして世界は、よくなっていくだろうか?」を注視していきたい。

国内の小さな「森友文書」の改ざん問題などをで大騒ぎするよりも、こちらの方が、日本にとっても、はるかに重要な問題なのである。完

 

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