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安倍政権の「一帯一路構想」参加に「チョット待った」。これは「ウィン・ウィン」ではないぞ

2017年5月14日と15日、中国が「一帯一路構想」サミット(シルクロード経済圏構想)と称する国際会議を北京で開いた。

 「一帯一路構想」とは、中国が1兆ドルを融資して、約60か国の途上国に、約900件の道路、鉄道、港湾、パイプライン、通信などのインフラで結びつける壮大な経済圏構想である。

 「中華民族の復興の夢」を掲げる習近平主席にとって、ユーラシア大陸に広域経済圏をつくる「一帯一路」構想の成功こそが、復興の夢の実現の近道となり、中国がユーラシア大陸において絶対的な支配権力を掌握することになるからである。 

 習近平主席は、会議で7800億元(約12兆8千億円)のインフラ整備資金を追加拠出することを表明した。capture-20170515-214454[1]

 しかし「一帯一路構想」は、本当に習近平主席の言うような「参加国の経済繁栄を目指すものであろうか?」それがはなはだ怪しいのである。それは中国と参加国とでは思惑があまりにも違い過ぎるからである。

 中国が目指しているのは、すでに国内のインフラ投資が飽和状態にある経済を「一帯一路構想」に参加するアジア・ヨーロッパ諸国に、建設や通信の契約、機械や装置の提供して、長期的には新しい貿易ルートとした、それらの国々へ中国製品を輸出することなのである。そのインフラ整備に融資をして、そのプロジェクトを中国企業が手掛けるということである。

 すなわち中国の目的は、受け入れ国の産業や生産能力を向上させるというよりは、港湾、鉄道、通信、電力、パイプラインなど、各国のインフラを整備することを口実にして国内のダブついている鉄鋼やセメントや建材などの在庫商品を一掃させ海外市場に消費させることである。

 これらのインフラ建設のプロジェクトを推し進めるために、中国だけが拒否権を持つ「AIIB」(アジアインフラ投資銀行)を創設したのである。資本金は一千億ドル、参加国は約50数カ国である。

 しかし「AIIB」によって中国からの融資を受ける国々の多くは、膨大な債務を背負わされるのである。その融資の仕組みも債務不履行に陥るように出来ているのである。中国が約6パーセントという高い金利で貸して、もし払えなければ、そのインフラを中国の影響下に置こうとする悪意に満ちたインフラ投資銀行である。

 この「一帯一路構想」を受け入れて「AIIB」から融資を受けたアジア諸国は、もし失敗すれば巨額の損失だけが残り、深刻な政治的・経済的なリスクを招くことになるのである。

 すでにギリシアのピレウス港やスリランカのハンバントタ港は、債務不履行のために中国に買収され、パキスタンのグワダル港は43年間、租借されることになり、モルディブなどは、今や中国の現代版植民地になっているのである。

 しかし日本は、アメリカと緊密な関係にあるので、アメリカの経済覇権を破壊するという意図が見える「AIIB」には不参加である。この日本が「AIIB」に入らなかったという選択は正しかったのである。 

 案の定「一帯一路構想」は、各国からクレームやキャンセルが相次いで出ている。 

 パキスタンのインダス河上流のダムと水力発電所の建設で、完成後のダムの所有権や運営権を中国に譲渡することが条件だったので、国益に反するのでキャンセルした。

 ネパールでも水力発電所の建設で、重大な疑念があるとして中国の支援を断っている。

 ミャンマーでもダムと水力発電所の建設が中断した。

 この他にもバングラデシュの港湾やインドネシアの高速鉄道なども計画通りにいかず、暗礁に乗り上げている。

 これらのトラブルの原因は、中国が国際ルールを無視して、中国ルールで強引に取引をしようとしているから、各国と契約の軋轢を生んでいるのである。これは、けして「ウィン・ウィン」ではないことを示しているのである。

 さらにインドが「一帯一路構想」に敢然と反旗を翻した。中国が「真珠の首飾り」と称している安全保障戦略が「海のシルクロード」に含まれていたからである。

 2017年12月にスリランカのハンバントタ港が高金利債務の返済ができずに中国の国営企業に引き渡されたのである。これはインドにとっても地政学的にも由々しきことである。

 モディ首相は、「中国・パキスタン回廊」に対抗して、「インド・イラン・アフガン回廊」という独自のバイパスを建設を始めている。さらに中国軍がヒマラヤのドクラム地区で道路建設を開始したので、インド軍を駐留させていたブータン政府が抗議がした。インフラを整備した後に領有権を主張する中国のやり方に対するインドの反発は強いのである。アーメダバードとインド最大の都市ムンバイを結ぶ「インド新幹線」建設に日本が協力しているのである。

 このように中国主導の「一帯一路構想」が、各国で破綻しかけているので、日本の信用力やノウハウを得たいので、何とか日本を引っ張りこもうとしているのである。

 2017年11月11日、ベトナムのダナンでの日中首脳会談では、あれほど露骨に日本を嫌っていた習近平主席が、これまでの対日の外交戦略を変えて「中日は、隣国同士であり、アジアと世界の主要な経済体だ。中日関係の安定的発展は双方の利益に合致しており、地域と世界に重要な影響を当たえる。中日関係を引き続き改善していきましょう。これから新しい中日関係が始まる」と微笑して言い出したのだ。6[1]

 この習近平主席の豹変した態度には、安倍総理も、さぞかしビックリしたことであろう。機嫌をよくして「一帯一路構想」について「大いに協力する」と、表明するようになってしまったが、ちょっと待った方がいい。

 これまで散々日本をいじめまわして、中国の都合のよい時だけ日本を利用しようという習近平主席のヤヌス的な微笑と騙しに乗ってはならないのである。

 この「一帯一路構想」には、じつは裏戦略があり、各国のインフラを整備させ、その産業道路を、いつでも軍事輸道路に転用して、強大な軍事力でもって他国の領土や領海を侵略して、資源を略奪していくという「軍事覇権戦略」が隠されていることを見抜かなくてはならない。

 安部政権は「AIIB」に対しては慎重であるが、「一帯一路構想」については積極姿勢である。それは「一帯一路構想」が、インフラ投資の活性化による景気対策であるので、日本の企業にとって、うま味があるからである。

 アベノミクスが、すでに息切れし始めている状態では、日本企業からも突かれているのであろう。しかし基本的には中国企業が潤うためのプロジェクトであることに変わりはない。ここが日本の欲望の落とし穴のところである。

 しかし「一帯一路構想」と「AIIB」は不可分の関係なので、「『一帯一路構想』には日本は協力できるが、『AIIB』は協力できない」という話ではないのである。

 つまりは中国が、どのように説明しようが、「一帯一路構想」も「AIIB」も、中国の覇権主義を拡充するための枠組みであることは間違いないのである。

 1月10日に、年末に訪中した二階俊博幹事長らの「日中与党交流協議会」の報告を受けて、安倍総理が「一帯一路構想」に対して、「中国側の考え方も、かなり理解されてきている。個別の案件について日本で対応できるものは、きちっと対応していきたい」と述べて協力する姿勢を示した。

 これを受けて親中派の二階俊博幹事長は「日中問題は難しかった時代もあったが、今はスムーズに両国間で話し合える状況になった」公明党の井上義久幹事長も「この機を逃さず日中の協力や友好を拡大する一年にしたい」と述べた。

 中国にすり寄って「一帯一路構想」の協力を申し出ようとしている自民党の二階幹事長や公明党の幹部の姿は、じつに醜悪なのである。img_eb7a31841df773fcbf1ccfd2aaa2f14747138[1]   

 「一帯一路構想」と「AIIB」は、習近平主席の中華帝国による世界制覇を成し遂げるための恐るべき罠である。

 それが「プロの政治家であるに、どうして習近平主席の野望が見抜けないのか?そのための使い走りにしかぐらいに見ていないことが、どうして本人たちは分からないのか?」と、悲しく思ってしまうのである。せめて「AIIB」を「まるでサラ金のようだ」と見立てた麻生財務大臣の見識になってほしいものだ。 完

 

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