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福岡ソフトバンクの優勝と孫正義社長の戦略②

 今年のプロ野球日本一になった福岡ソフトバンクホークスのオーナーである孫正義社長が、今度は「サッカーJリーグの東京ベルディを買収するのではないか?」というウワサが持ち上がっている。真偽のほどはわからないが、孫社長の戦略は、次なる挑戦に向かっている事は確かである。

 そのソフトバンクの孫正義社長が、約1年前に日本やアメリカの企業が「アッ」と驚くような離れ業をやってのけた。

 12月6日に、ニューヨークのトランプ・タワーで、アメリカ次期大統領トランプ氏と45分間にわたる会談をして「ソフトバンク・グループの傘下にある大手携帯電話会社スプリントやベンチャー企業の衛星通信ワンウェブなどに500億ドル(約5兆7000億円)を投資して5万人の雇用を創出する」とビッグな約束を交わしたのだ。

 共通の友人を介してトランプ、アメリカ次期大統領との会談がセットされたというが、正に電光石火の早業というのは、このことである。 さすがに情報革命の先端を行く孫社長の仕事ぶりである。

     20161222-01261397-sspa-000-1-view[1]             トランプタワーのロビーでのトランプ次期大統領と孫正義社長 

 会談後、トランプ氏は、トランプ・タワー1階のロビーまで孫社長を見送り、両者が満面の笑みを浮かべて会談の成果をPRしていた。 

 孫社長は、待ち受けた記者団に対して「トランプ氏は、積極的に規制緩和を推進すると話していた。私は、それは素晴らしいことだと思っており、もう一度ビジネスする国としてアメリカにチャンスがやってくるだろう。アメリカは再び偉大になる」と確信的に語った。

 これに対してトランプ氏は、孫正義社長を「マサは、産業界でもっとも偉大な男の一人だ」と持ち上げた。過激な発言が目立つが褒めるときは思いきっきり褒めるのが、トランプ流なのだ。

 この孫社長の思い切った投資にトランプ次期大統領は機嫌をよくして「マサは、俺が大統領選に勝っていなかったら『アメリカに、こんな投資はしなかった』と言ってくれたんだぜ」と、会談の様子を2度もツイートした。余程機嫌がよかったのであろう。孫正義氏は、トランプ、アメリカ次期大統領の「再びアメリカを偉大な国に」政策に、すべてを賭けたのだ。大胆であるという他はない。

 「自分の持った夢に、自分の人生は、概ね比例する結果を生む。夢は、できるだけでかい夢を持った方がいい」と「シンク・ビッグ」の成功哲学を持つのは、トランプ次期アメリカ大統領と全く同じである。

 このニュースを受けて、これまで6000円台であったソフトバンク社の株は、すぐさま6・1%も上昇して、孫正義氏が総資産を197億ドル(約2兆2500億円)に増やして、日本一の大富豪となった。さらに12月20日には、8000円を突破した。まるで孫悟空の如意棒が伸びたように株が上がったのだ。

 要するに孫正義氏は、機を見るに敏に行動して、絶好のタイミングで、その国の元首に会って、雇用が生まれるような投資話をして、いたく歓迎されるのだ。つまり孫正義氏は、凄過ぎる交渉の達人なのだ。 

 19日には孫社長は、トランプ氏との約束通りソフトバンクがワンウェブに10億ドル(約1180億円)出資すると発表した。          また大手携帯電話会社スプリントにも、5000人の雇用を生むように投資を手配した。4年前に買収したスプリントの苦しい赤字経営があったが、2016年3月に「反転の兆しが見えてきた」と発表された。「自ら直接手をかけて、右肩上がりの結果を出せなかったものがない。それが私の誇り」と、スプリントの再建に強い自信を示しているのだ。この「失敗か?」と思われたスプリントですら、現在は黒字化し、安定的なキャッシュフローまできた。 

 しかし、これでソフトバンク・グループの有利子負債は、なんと15兆円に膨らみケタ外れに巨額なものとなった。 

 2016年8月に社長退任を予定していたソフトバンク・グループの孫正義氏が、「やり残したことがあり、欲が出た」として突如、6月に退任を撤回して社長に復帰した。グーグルから招聘したニケシュ・アローラ副社長を一旦は後継者に薦めながら、何と88億円の退職金を支払ってまで撤回した。アローラ氏に支払った報酬の総額は約348億円になるという。そのことに孫正義社長は「あまり反省してないかもしれない」とケロッと述べたそうである。background[1]

 「なぜそのような損失を出してまで孫社長は大英断したのであろうか?」当然ながら株主たちからクレームがついた。これに対して孫社長は、結果的に払う必要のない巨額の退職金を払ってしまったことを認めたが「代わりに私が現役社長として戻ってきた。それが価値としてあるのではないか?」として株主たちに理解を求めた。           

 そして孫正義社長は、ビジネス・チャンス到来として猛然と巨額投資に打って出た。6月にEUから離脱して、イギリスの新たな首相となったメイ首相とも会談して、半導体知的所有権会社のアーム・ホールディングスを3兆3000億円で巨額買収する話をまとめ上げて「5年間でイギリスの雇用を2倍に増やす」ことを約束したのだ。あまりにも巨額の買収であったために日本のみならず、世界も驚いたのであった。

 アーム・ホールディングスの「アーム・コア」と呼ばれる回路設計の基本デザインは、スマートフォンやタブレットの端末やデジタルTV、自動車などの頭脳と言えるCPU(中央処理演算装置)の設計開発を手掛けるスマートフォン向けでは世界で95%以上の市場シェアを誇る会社なのだ。

 孫社長は、「このアーム・ホールディングスを買収して、ソフトバンク・グループをどのような会社に変貌しようというのか?」

 そのことが孫社長の2017年の年頭所感において語られている。「近未来に、必ず人工知能による『シンギュラリティー(技術的特異点)』の時代がやってくる」と予見したのだ。その「重要な一手としてアーム・ホールディングスを買収した」というのだ。 

 孫社長がソフトバンク・グループの財務のハイ・リスクを顧みずにアーム・ホールディングスの買収に踏み切ったのも、その会社が、今後、急速な普及が見込まれる「lоT(モノのインターネット)」に欠かせない技術を保有していて、10年先を見越して製品開発を進めていたからだ。

 経営者として、先が見えるということは、とても大事な能力である。孫正義氏は、ビジネスマンとして最先端の先見の明を持っている経営者なのだ。そして彼が率いるソフトバンク・グループは、「lоT(モノのインターネット)時代が来ることを予想して、それを最大のビジネスチャンスだ」と踏んで、いち早くlоT時代にシフトしているのだ。 

 そのためには巨額の資金投資がいる。孫社長は、10月14日にサウジ・アラビア政府系ファンドの「パブリック・インベストメント・ファンド」と組んで1000億ドル(約10兆円)規模の投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立することを発表した。「パブリック・インベストメント・ファンド」のチェアマンであるムハマド・ビン・サルマンサウジアラビア副皇太子と、ある覚書を交わしたのだ。 

  それによるとソフトバンク・グループは、今後5年間で250億ドル(約2兆6000億円)以上を「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」に出資する。またサウジ・アラビア政府系ファンドの「パブリック・インベストメント・ファンド」も、5年間で450億ドル(約4兆6000億円)を「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」に出資する。残りの3000億ドルは、他の投資ファンドに出資を呼びかけるという。 孫社長は、この巨大投資ファンドの設立の意味について「ソフトバンク・グループのグローバル成長戦略を加速させることを目的とした自社の借金を増やさずに、投資を拡大するための『解』だった」と説明したのだ。

     l2b371d8r57tu6m4wu7i[1]  

 孫正義氏の語録には「大事なことは、誰が何と言おうと、一直線に志に向かっていくこと」 

 「失敗を恐れずに、様々な手段を次々に試していれば、必ずどこかで当たります」とある。  

「事業の成功は、精いっぱいチャレンジを続けていれば後は確率の問題です」というリスクを恐れないでビジネスチャレンジするというが、あまりにも凄過ぎる額なのである。         

 そして「すってんころりんと転ぶかもしれない。しかし目指したものが、そこにあれば、死ぬ5分前に『ああ、楽しい人生だったな。はるかに有意義な人生だったと思える気がする」と。

 「孫正義氏は、坂本龍馬を大変尊敬していて『世に生を得るは事を成すにあり』という龍馬の言葉を座右の銘にしているが、天上界の坂本龍馬は、その孫正義氏を見て、どのように思っているのだろうか?」気になるところである。  

 「はたして孫正義氏は、龍馬の志を継いで、現代の坂本龍馬となれるのか?」

 坂本龍馬は「薩長秘密同盟」や「大政奉還論」を成し遂げながら新国家構想を夢見て、近江屋で暗殺されてしまった。しかし龍馬の志は、三岡八郎(由利公正)の新政府の財政基盤の確立や岩崎弥太郎の三菱商事の発展や陸奥宗光の外交の展開などに引き継がれたのであった。

 ともあれ「いったい、この男、どこまでやるのか?」今後とも現代の天才的風雲児に注目していきたい。      完

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